COLUMN
「業務改善」というと、新しいシステムの導入や業務内容の変更など、大がかりなアクションがなければ成功しないと思われがちです。しかし、簡単に始められる小さな改善も、積み重ねることで大きな成功を生み出します。
今回は、日々の業務にスムーズに取り入れやすい、小さな業務改善アイデアをご紹介します。
業務改善は、企業や店舗などのよりよい経営に向け、現状の業務における課題解決策を実践することです。改善によって、業務効率化や生産性向上、経費削減など、多くのメリットが得られます。
昨今はどの業界も市場競争が激しい反面、人手不足が深刻化しています。業務の見直し、改善を行うことは、従業員の負担を減らしながらの高い成果、少数精鋭での売上アップや、快適な労働環境の実現による優秀な人材の確保など、多方面によい影響をもたらすでしょう。
経営者にも従業員にもよい影響をもたらす業務改善ですが、なかには多くの時間や労力、導入のための費用を要するものもあります。特に、DX化やマニュアル作成、アウトソーシングの活用などの大々的な内容は、「改善に向けた得策ではあるものの、実現が難しい」という組織も少なくないでしょう。
しかし、業務改善は必ずしも大きなことをする必要はなく、小さな改善の積み重ねによって効果を得ることもできます。課題解決に向けた計画の段階で諦めず、自社でできる範囲の改善を少しずつ行っていくのも、1つの方法です。
前述の通り、小さな業務改善が大きな成果をもたらすケースも多くあります。実践が比較的簡単な7つのアイデアをご紹介します。
業務改善に欠かせないのが、業務の洗い出しです。大きな業務、メインとなる業務はもちろん、それに付随する小さな業務も細かく可視化すると、業務の「ムダ」が見えてきます。
特に意味はないが慣例的に続けている業務などがあれば、それをなくすだけでも業務改善への一歩となるでしょう。
業務を「見える化」すると、「誰が」「どのような業務を」「どれくらいのボリュームで」行っているかがわかりますが、なかには負担の割合が偏っている業務があるかもしれません。また、業務内容によっては「この部署よりもあちらの部署で行ったほうがよい」「よりこの業務を得意とする適任者がいる」というものも出てくるでしょう。
分担や担当者を見直すのも、業務改善の1つです。1人あたりの負担が減れば、これまでその業務を主に担っていた従業員はほかの業務に割ける時間が増えますし、新たに分担された従業員は、より幅広い業務に従事できます。また、個々の能力に見合った業務を任せることで、より効率的に作業を進められます。
オフィス・店舗内を改めて見直してみると、動線が悪かったりスペースを無駄に使っていたりすることもあります。レイアウト変更によって動線を確保し、限られたスペースを有効に利用できれば、従業員の職場環境への満足度が上がります。
デスクの配置を変える、デッドスペースに什器を置くなどして、快適な労働環境を実現しましょう。
業務のなかには上司の承認が必要な内容も存在しますが、申請から承認までの時間が不必要に長いという課題を抱える企業は少なくありません。何人もの責任者が確認・押印しなければならない、内容によって書式や承認フローが異なるといったことがあると、時間がかかるばかりでなく、申請者が進捗状況を把握しにくいのもデメリットです。
承認方法の見直しも、比較的実践しやすい業務改善策だといえます。フローや書式の改良にに向けて、電子データの活用も視野に入れましょう。
紙の書類は共有しにくく、その後の保管や処分も大変です。印刷のための機器のリースや、用紙代などがコストを大きくしてしまうのも問題点だといえます。従来の紙ベースから電子データに移行すれば、よりスムーズな情報共有が可能です。ペーパーレス化は業務改善だけでなく、環境に配慮した経営にも貢献します。
会議やミーティングは、同じスペースにメンバーが集まって行うのがこれまでの方法でした。しかし、スペースの確保やスケジュールのすり合わせ、実施場所への移動などには時間や費用がかかりますし、議論が逸れると無駄が生じてしまいます。
会議・ミーティングには、オンライン会議ツールを活用するのがおすすめです。また、目的や議題を事前に明確化し、必要な話し合いを短時間で完結する工夫をすれば、これまで無駄にしていた時間を、ほかの業務に費やすことができます。
コロナ禍に急増したテレワークは、育児や介護との両立、通勤時間の短縮など、多方面によい影響をもたらします。経営者も、居住地域に囚われない採用が可能となり、より優秀な人材を確保しやすくなりました。
テレワークの導入・促進は、従業員に「働きやすい環境」を提供し、エンゲージメントを高めます。出社人数を最小限に抑えればオフィスの縮小もでき、経費削減の効果も見込めるでしょう。
比較的実践しやすい小さな業務改善で成果が見られたら、徐々により大きな改善策も取り入れていくと、現状分析によって見えてきた課題の多くを解決できます。時間や費用がかかるものの、高い効果が期待できるアクションには、どのようなものがあるのでしょうか。
コア業務に該当しない内容は、アウトソーシング(外注)するのも1つの方法です。特に、給与計算や請求書の入力などの定型業務が多い経理部門は、アウトソーシングに向いています。
税理士事務所や会計事務所、経理アウトソーシング専門業者などのプロに任せれば、ミスや不正が起こりません。また、経営に関するアドバイスなど、経理業務以外のサポートを受けられる場合もあります。
従業員はコア業務に費やす時間を増やせるので、生産性・売上アップも見込めます。
業務の流れやルールをまとめたマニュアルやフローチャートを作成するのも、業務改善方法の1つです。
わかりやすいマニュアルやフローチャートがあれば、従業員によって進め方や完成度にバラつきが出ることなく、正しく業務を遂行できます。部下はマニュアルやフローチャートではわからない点を上司に確認すればよいので、上司が教育にかける時間を削減できるのもメリットです。
ただし、活用できるマニュアルやフローチャートを作るには多くの時間を要します。そのため、マニュアル作成担当者の負担が大きくならないよう配慮することも重要です。
張り紙や回覧での情報発信は、伝達に時間がかかる場合もあります。また、業務に必要な情報などを紙ベースで保管すると、検索・閲覧が大変で活用されないかもしれません。
情報共有にはデータベースを活用すると、伝達や検索がスムーズです。内容の変更も紙媒体より簡単にできるので、常に新しい情報を入手できます。社内におけるコミュニケーションも、従来よりも円滑に取れるようになるでしょう。
タスク管理やコミュニケーションなどが簡単にできるデジタルツールや、業務の負担を軽減できるシステムは、多く存在します。自社の課題解決につながるツールやシステムを導入するのも、業務改善策として有効です。
機能や費用はツール・システムによって異なるので、複数の業者に相談し、最適なサービスを検討しましょう。
単に現状の業務を見直すだけでなく、組織の成長につながるアクションを起こすことも、業務改善に含まれます。個々のスキルアップに向けたサポートには、研修の実施や教材の導入、資格取得のための費用負担などがあります。
従業員がスキルアップすれば、業務の質やスピードが上がります。また、「こんなサポートがしてもらえる」と従業員が組織によい印象を抱くことで、優秀な人材を長く留めておくこともできるでしょう。
業務改善に向けたアクションは、小さなことを積み重ねていくと大きな成果につながるケースも多いです。課題に優先順位をつけてできることからスタートし、徐々に大きな取り組みを実施していきましょう。
経理アウトソーシングサービスを提供するファーストアソシエイツでは、「業務改善に向けて、何から始めればよいかわからない」という経営者さまのご相談も承っております。丁寧なヒアリングで現状を分析し、ご要望に沿った改善策をご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。