COLUMN
業務改善は、経費面にもよい影響をもたらします。
経費削減を実現するためには、どのような手順で業務改善を進めるとよいのでしょうか。今回は、業務改善が経費削減にもたらすメリットや、経費面に大きな効果が期待できる経理アウトソーシングについて解説します。
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企業やお店などが利益を得るための活動をするには、費用がかかります。事業活動に必要なこの費用を「経費」といい、「固定費」と「変動費」の大きく2種類に分けられます。
「固定費」は、売上にかかわらず定期的に発生する経費です。人件費や水道光熱費、通信費、オフィスや店舗の賃料などは、固定費に含まれます。
「変動費」は、状況や売上に応じて発生の頻度や額が変わる経費です。消耗品費や広告費、従業員の残業代や交通費、出張費、原材料費、仕入れのための費用などは、変動費にあたります。
企業や店舗の運営のためのさまざまな費用をゼロにすることはできませんが、「できるだけ費用を抑えたい」と考える経営者は多いでしょう。経費削減を実現すると、次のようなメリットが得られます。
企業などの利益は、売上高から経費を差し引いた額です。経費が削減できれば、そのぶん利益が多くなります。
売上自体の増加が難しい場合も、経費削減によって利益増加が見込めます。また、利益増加は金融機関や株主など、第三者からの高い評価にもつながります。
市場競争が激化する昨今、企業・組織には競争力の高さが求められます。経費削減が成功すれば、浮いた資金を競争力強化に活用できます。新たな投資をしたり、企業の成長につながる教育に活用したりするほか、将来に向けて資金を確保するのも1つの方法です。
事業運営において、未来の予測不能なリスクへの備えは不可欠です。経費削減で資金に余裕ができれば、万一のときに使えるお金が増えます。また、固定費を削減できれば月々の財務が安定し、費用面における経営の不安を解消できるでしょう。
新たなプロジェクトの遂行や市場への進出、研究・開発などには、多額の資金を要するケースも少なくありません。そのため、利益が少なければ企業のさらなる成長に向けた投資は難しくなります。
経費削減によって資金が確保できれば投資の機会が生まれ、事業拡大に向けて具体的にアクションを起こせます。
経費削減は企業・組織の大きな課題の1つでしょうが、「どの経費を、どのように削減できるのか」という、具体的な手法が思いつかない場合もあります。進め方に迷ったら、以下の観点から削減できる経費がないかを見直しましょう。
・採用・教育
・人件費
・消耗品
・エネルギー
各項目の具体的な経費削減アイデアは、以下の通りです。
・リファラル採用、ダイレクトリクルーティングなどを導入する
・求人広告媒体を安価で効果の高いものに変更する
・業務改善による、採用業務の工数削減
・離職率の改善
・業務改善による効率化の実現
・残業代の削減
・オンライン会議の活用
・アウトソーシング導入
・ペーパーレス化
・まとめ買いで必要なものを安価に入手する
・中古品の活用
・テレワークによるオフィススペースの縮小
・テレワークの促進
・節電につながるアクション
・LED電球への交換
・太陽光パネルの設置 など
特に節電につながるアクションは、経費削減に大きな効果をもたらします。
しかし、「エアコンの設定温度が高(低)すぎる」「日中についている電気が少なく、オフィス全体が暗い」など、経費削減を重視しすぎて働く環境が悪くなると、従業員のモチベーションがさがってしまう可能性もあるので注意しましょう。
さまざまなメリットをもたらす業務改善ですが、経費削減に向けた改善はどのように進めればよいのでしょうか。手順を解説します。
まずは、経営のためにどのような経費がどれくらいかかっているのかを洗い出します。リストやグラフなどにまとめると、経費の割合がわかりやすくなります。
経費の洗い出しができたら、無駄な経費や削減できそうな経費を検討します。使用頻度の低いもの、すでに使用していないものなどは、優先的に削減対象にしましょう。
たとえば、あまり使用しないサイズのコピー用紙は、ほかのサイズに置き換えて今後購入しない、という選択もできます。また、置いてあるだけのリース機器は、契約を打ち切れば月々のリース代削減につながります。
業務改善によって削減できる経費がある場合は、具体的な改善方法を考えましょう。工数の削減、ルールや人事配置の変更、アウトソーシングの活用、DX化など、方法はさまざまです。
業務改善の内容は、すぐに実行できそうなものから費用や時間が多くかかるものまであります。経費削減に向けたアクションが固まったら、「どれをはじめに行うか」「導入・実行が難しそうなものは何か」という、優先順位もつけましょう。
優先順位の高いものから、より具体的な計画を進めていきます。よりよい業務改善のためには、計画や目標について以下の点を明確にしましょう。
・誰がメインで進めていくか
・いつまでに行うか
・どのくらいのボリュームで実行するか
・どのような方法を取るのか
目標や計画を立てたら、達成に向けて協力してもらうために従業員への周知も忘れずに行います。
業務改善を実施します。実施後は経費削減への効果について、評価も必ず行いましょう。
効果が出た場合は「なぜ効果があったのか」を分析します。計画通り進めたのに経費削減への効果があまりなかった場合もその理由を探り、「どうすればより効果が得られるのか」という改善策を出すと、次の行動が起こしやすいです。
業務改善方法の1つであるアウトソーシング(外注)は、特に経理部門への活用がおすすめです。最後に、経費削減につながる経理アウトソーシングについて、詳しく解説します。
経理アウトソーシングとは、企業・組織内の経理業務を外部に委託するものです。経理アウトソーシングを専門とする代行業者のほか、税理士事務所や会計事務所にも依頼できます。
委託できる内容は企業や事務所によって異なりますが、社内で行うのが難しい業務の一部をアウトソーシングするだけでなく、経理業務全般をアウトソーシングすることも可能です。
経理アウトソーシングを利用すると、以下のようなメリットが得られます。
・経理担当者の採用・雇用コストを削減できる
・従業員がコア業務に集中できる
・経理における不正を防止できる
・作業の人的ミスがなくなる
・新たな税制や法改正にすぐ対応してくれる
・委託先によってはDX推進やよりよい経営に向けたアドバイスやサポートが受けられる
企業が経理担当者を雇用する際には、採用活動費や雇用後の教育に関する費用がかかります。その後の月々の給与や福利厚生費は、経理担当者の人数が増えるほど固定費が拡大してしまいます。
2人以上の経理担当者を採用するなら、経理アウトソーシングを活用したほうが費用をおさえられます。また、従業員は経理以外のコア業務に集中できるので、売上を上げることも可能です。経理部門のプロに依頼することで、その他のメリットも得られるでしょう。
経費削減の観点からも魅力的な経理アウトソーシングですが、以下のようなデメリットが生じる可能性があることは、事前に把握しておきましょう。
・経理担当者の雇用よりも経費がかかることがある
・情報漏洩のリスクがある
・費用対効果が高くない依頼先もある
委託先や依頼内容によっては、経費削減が見込めない場合があります。また、信頼できる委託先を選ばないと、経理に関する重要な情報が漏洩したり、かけた費用にたいしてじゅうぶんな効果を実感できないかもしれません。
多方面においてメリットを得るためにも、アウトソーシング先は慎重に選びましょう。
経営において欠かせない経費削減は、さまざまな方法で実施できます。業務改善によって経費を削減するなら、分析や計画を入念に行う必要があります。アウトソーシングの活用も視野に入れ、よりよい策を検討しましょう。
経理のプロである税理士が在籍するファーストアソシエイツでは、お客様のニーズに沿ったアウトソーシング内容をご提案いたします。また、経理部門以外の業務改善もサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。