• 【経理・バックオフィス向け】業務改善の鍵はここ!―生産性を高める「現状分析と課題発見」徹底ガイド

    前回のコラムでは、業務改善が「生産性向上」「品質向上」「働きやすさ向上」を実現するうえで欠かせないテーマであることをお伝えしました。

    いざ業務改善に取り組もうとしたとき、多くの企業が最初にぶつかるのが

    「何から手をつければいいのか分からない」

    という状態です。

    なんとなく気になるところから手を付けたり、評判の良いツールを導入したりしても、本当のボトルネックにアプローチできていなければ、期待した効果は得られません。

    そこで重要になるのが、「現状分析」と「課題発見」 です。

    本コラムでは、経理・バックオフィス業務におけるムダ・ムラ・ムリを見抜き、生産性向上につなげるための現状分析の具体的な進め方を解説します。

    このステップを正しく踏むことが、業務フロー設計の見直しとバックオフィスDX成功の第一歩になります。

    業務改善がうまくいかない典型的なパターンは、

    ・課題がふんわりしたまま

    ・流行りのシステムやクラウドツールを導入

    ・現場の負担だけ増え、結局元のやり方に戻ってしまう

    という流れです。

    こうした失敗を防ぐためには、まず現状を正しく把握することが欠かせません。
    現状分析を徹底すると、次の2点が明確になります。

    ①真のボトルネックの特定

    「なんとなく忙しい」「作業がいつもギリギリ」という状況でも、その原因は企業によって異なります。

    ・紙の請求書・領収書の承認待ちが滞留しているのか

    ・会計システムへの手入力による二度手間が発生しているのか

    ・特定の担当者にだけ業務が集中しているのか

    現状分析によって、どの業務・どのプロセスが本当のネックなのかを具体的に把握できます。

    ②改善の優先順位付け

    課題はどの企業にも山ほどあります。

    しかし、すべてを一度に解決することは現実的ではありません。

    現状分析を行うことで、

    ・効果が大きい

    ・着手しやすい

    ・他の業務にも波及効果がある

    といった観点から、最初に取り組むべき業務改善の優先順位を決めることができます。

    現状分析の3ステップ―経理・バックオフィス業務の「見える化」から始める

    ここからは、経理・バックオフィスに特化した現状分析の3ステップをご紹介します。

    ステップ1:業務・業務フローを「作業単位」まで徹底的に可視化する

    業務改善の基本は、3つのム(ムダ・ムラ・ムリ)の発見です。

    そのためには、業務を「何となくの流れ」ではなく、作業レベルに分解して可視化する必要があります。

    ポイントは次の通りです。

    ポイント①

    ・誰が(担当者・部署)

    ・いつ(タイミング・頻度)

    ・何を(具体的な作業内容)

    ・どのように(使用するツール・媒体・ルール)

    を、できるだけ細かく洗い出します。

    ポイント②

    ・紙からデジタルへ移るタイミング

    ・システムA→システムBへのデータの受け渡し

    ・上長・経営者・他部署の承認が必要な箇所

    を、特に詳細に記録しておくと、後の分析がしやすくなります。

    例:請求書処理フローの一例

    1. Excelで請求書を作成

    2. 印刷

    3. 上長が紙に押印

    4. Chatworkで総務へ発送依頼

    5. 発送後、会計ソフトへ手入力で仕訳登録

    このように書き出すことで、「印刷」「押印」「手入力」といったムダや属人化しやすい箇所が浮かび上がってきます。

    ステップ2:「時間」と「頻度」で非効率を定量的に測る

    次に、「なんとなく時間がかかっている」という感覚を、数字(工数)で裏付ける作業に移ります。

    1)工数測定(かかっている時間を測る)

    ・各作業にどれくらいの時間がかかっているかを計測

    ・1件あたりの処理時間、1日・1ヶ月あたりの合計時間などを把握

    Notionやスプレッドシートを使い、タスクごとの開始時刻・終了時刻を記録することで、客観的なデータを得られます。

    2)頻度測定(どれくらいの頻度で発生しているか)

    ・月間・年間でその作業が何回発生しているか

    ・特定の締日や繁忙期に偏っていないか

    【課題の「見える化」】

    「発生頻度が高い」+「1回あたりの工数が大きい」

    この2つを満たす作業こそ、業務フローの見直しやDX導入で大きな効果が見込める本当の課題(ボトルネック)です。

    ステップ3:課題を定義し、「改善テーマ」に落とし込む

    可視化・定量化した業務フローをもとに、課題を具体的に定義していきます。

    ボトルネックの場所課題例解決策の方向性(例)
    紙の帳票の入力作業データ転記に時間がかかり、ミスも発生しやすいスキャン×自動読取(DX)、当社による経理BPO代行
    特定の担当者しか対応できない業務担当者が休むと業務が止まる/引き継ぎができない業務フロー設計とマニュアル化による標準化
    承認待ちの時間承認者不在で処理が進まず、締切ギリギリになるクラウドワークフロー・電子承認の導入、承認ルートの見直し

    このステップでは、

    「どこが問題なのか(ボトルネック)」

    「なぜそれが問題なのか(リスク・コスト)」

    「どういう方向性で解決するのか(DX・BPO・体制づくり)」

    を1セットで整理することが重要です。

    現状分析が難しい理由―「当たり前」を疑うには外部の視点が必要

    ここまで読むと、

    「現状分析が大事なのは分かった。では明日から自社でやってみよう」

    と思われるかもしれません。

    一方で、現場だけで現状分析を行おうとすると、次のような壁にぶつかりがちです。

    ・長年続けている業務フローが「当たり前」になっており、ムダに気づきにくい

    ・紙文化・押印文化など、「そもそも疑うべき前提」が見えない

    ・「誰が悪いか」の話になり、現状を正しく出しづらい

    ・「忙しくて分析している時間がない」という悪循環に陥る

    経理やバックオフィス業務は、正確性が求められる一方で保守的になりやすい領域でもあります。

    だからこそ、「今まで通り」が続きやすく、改善の余白が眠っていることが少なくありません。

    まとめ:現状分析と課題発見は「専門家」に任せる価値がある

    業務改善を成功させるうえで、現状分析と課題発見は土台そのものです。

    そして、その土台づくりこそ、専門家を活用する価値が最も高い領域でもあります。

    ・長年の慣習にとらわれない、第三者の客観的な視点

    ・経理・バックオフィスに特化した、現場を知るプロの視点

    ・DXツールを前提とした、業務フロー設計のノウハウ

    これらが揃うことで、貴社の「当たり前の業務フロー」に潜むムダ・ムラ・ムリを正確にあぶり出すことができます。

    株式会社ファーストアソシエイツができること

    株式会社ファーストアソシエイツは、単なる経理代行会社ではありません。

    ・現在の業務内容・業務フローの丁寧なヒアリング・可視化

    ・経理・バックオフィスの現状分析と課題発見

    ・既存の会計システムやExcel、メール・チャットなどの活用状況の整理

    ・最適なクラウドツールを組み合わせた新しい業務フローの設計・DX推進

    ・経理BPOを組み込んだ、運用可能な体制づくりの伴走支援

    といった形で、分析~設計~実行まで一貫してサポートいたします。

    「どこにムダがあるか分からない」

    「分析する時間も人も足りない」

    「経理担当の負担を減らしたいが、どこから手を付ければいいか…」

    そんな状態こそ、ぜひ一度ご相談ください。
    貴社の生産性向上と競争力強化を、業務の土台からご一緒に支えていきます。