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特定の人員が業務を担当する「属人化」や、感覚に頼った業務遂行は、業務効率を落とす可能性があります。効率的に業務を進めるなら、まずは作業の可視化から始めるのがおすすめです。
今回は、業務可視化がもたらすメリットや、効果を感じる業務可視化のステップを解説します。
目次
業務可視化とは、すべての従業員が業務内容や手順を把握できるよう「見える化」することをいいます。業務で使用するシステムやデータ、作業工程、人員などを洗い出すと、マニュアル化する際に業務のムダも見えてきます。
不要な工程をなくし、効率的な作業手順に組み替えて最適化すると同時に、可視化によって社内業務の全体像を誰もが把握できるようになるので、部署間で連携した業務改善の実現が可能です。
業務可視化を行うことで期待できるメリットは、大きく4つあります。
特定の人員に依存する「属人化」は、担当者の退職や休職で業務の滞りや、担当者の不正を招きやすくなります。業務プロセスが明確化されれば、誰もが品質を担保して業務を遂行できるので、属人化防止につながります。
業務内容や担当者が明記された資料があれば、部署内はもちろん、社内全体での情報共有がスムーズになります。従業員同士の連携は個々の負担の軽減や、組織内での自身の役割の理解促進にもつながり、モチベーションアップによる生産性向上も期待できます。
従業員が個々の感覚に頼って業務にあたると、品質にバラつきが起こりやすくなります。業務可視化で標準化された手順が示されれば、誰がその業務にあたっても一定の品質を保つことが可能です。
業務可視化に向けた業務内容の洗い出しで見つけた”ムダ”を省けば、作業効率がアップします。業務効率化で残業が減ったり、空いた時間をほかの業務に充てたりすれば、コスト削減にもつながるでしょう。
効率的な業務を実現する業務可視化は、3つのステップで完了します。どのような点に注意しながら進めるとよいのかを見てみましょう。
まずは、業務可視化の対象を決めて業務内容を洗い出します。現在行われているすべての業務の角手順において、「誰が」「何をするか」「作業環境」「詳細な手順」などを掘り下げていきます。誰が見ても一目でわかるよう、担当部署や内容によって整理することも重要です。
業務内容を洗い出す際は、漏れのないようにします。担当者以外も作業を代行できるくらい細かなリストを作成するには、担当者へのヒアリングや洗い出し業務の分担も有効です。
業務内容を洗い出し、整理ができたら、改善点を明確にします。業務効率化に向けた改善策を考える際には、以下の方法を検討しましょう。
・廃止:ムダな業務をなくす
・削減:回数や量を減らす
・容易化:簡単な作業にする
・標準化:ルールを決めて統一する
・計画化:短い時間で計画的に行う
・分業分担:スキル・経験などが適正な担当者を置く
・同期化:平準化してまとめる
・機械化:自動化、デジタル化する
作業をなくす、量を減らすことでの改善を優先し、難しい場合はシステムやツールの導入も視野に入れた改善策を考えましょう。
課題と改善策が明確になったら、業務フローを再設計します。この際も、誰が行っても品質を保てるような資料にすることを心がけましょう。また、改善策の実行に関するスケジュール決めも忘れてはいけません。改善点が多く、一度に改善するのが難しい場合は、優先度をつけて段階的に改善していきます。
完成した新しい業務フローは、社内で共有します。また、一度業務可視化を行ったら終わりではなく、定期的な見直しと更新によって常に最善な業務フローを提示することで、より効率化を図れるでしょう。
業務可視化による効果を実感するためには、さまざまな工夫を取り入れるのがおすすめです。4つのアイデアを適宜導入し、業務可視化でできあがった新たな業務フローを活用しましょう。
フロー図とは、業務の流れや手順を、図で視覚的にわかりやすくしたものです。図形と矢印、テキストによって、業務開始から終了までのプロセスや担当者、作業の内容、分岐条件などを整理します。
従業員は、フロー図で業務全体を把握し、抜け・漏れのない作業を実行できます。他部署や複数の担当者の連携が必要な場合も、フロー図に示しておけばスムーズに連携でき、ミスを防げるでしょう。
業務遂行のための手順やルール、ノウハウをテキストや図などで表すマニュアルも、可視化された業務をより効率的に実行するのに役立ちます。最近は動画を用いてより直感的に業務手順を理解できるマニュアルも人気です。
標準化された手順をマニュアル化すれば、商品・サービスの品質を保ちながら作業効率を上げられます。担当者不在の緊急時のみならず、新人教育の場においても、マニュアルの利用で担当者の負担を軽減できるので便利です。
ビジネスシーンで役立つITツールの種類は豊富で、業務効率化に役立つものも多くあります。たとえば、プロジェクト管理ツールなら、業務の進捗や担当者の状況を可視化でき、属人化を防止できます。また、ナレッジマネジメントシステムを導入すれば、個々のノウハウを簡単に共有でき、効率化に貢献します。
ただし、ITツールは目的に合ったものや、予算に見合ったものを選ぶ必要があります。従業員が活用しやすい仕様や機能に注目するなど、導入に向けた準備も大変です。業務可視化で「必要だ」と感じたツールは、導入に向けて積極的に動いてもよいでしょうが、「DX推進」という漠然とした理由から、不要なツールを導入しないよう注意してください。
業務可視化を行うと、「社内での対応が難しい」「専門性が高く、外注したほうが効率化できる」といった業務も見えてきます。「なくすことはできないが、多くの時間や労力を割く必要がある」という業務は、専門的な業者にアウトソーシングするのも1つの方法です。
特に、経理業務は高い専門性や豊富な経験が求められるため、社内に担当者を置くのが難しいケースも多いです。経理のプロが業務を担う経理アウトソーシングを活用すれば、属人化のリスクや担当者の育成にかかる負担など、さまざまな課題を解決できます。
経理アウトソーシングは、経理業務の経験が豊富な人材が多く所属する専門業者のほか、税理士事務所や会計事務所でも行っています。税理士事務所なら、会社の税務に関する相談も併せてできるなど、幅広い恩恵を受けられるでしょう。
社内の業務を洗い出す業務可視化は、ムダを省いた効率的な業務の遂行に役立ちます。また、誰もがさまざまな業務を理解することで、属人化防止や正しい作業による効率化など、多くのメリットをもたらします。
「業務改善をしたい」と考える経営者さまは、まずは業務可視化からスタートしてみてはいかがでしょうか。
経理アウトソーシングや補助金支援など、企業を支えるサービスを提供するファーストアソシエイツは、バックオフィスの業務改善支援も行っております。効果的な業務可視化のアドバイス、サポートなど、お客様のお悩みに寄り添った柔軟なサービスをご提供させていただきますので、まずはお気軽にご相談ください。