COLUMN
経理担当者の突然の退職は、業務の遅延などの問題につながります。特に、小規模な組織においては経理担当者がいなくなると困ることが多いため、いざというときのために対処法を知っておくと安心です。
今回は、経理担当者の退職が急に決まった場合のデメリットや、何をするべきかなどを開設します。
目次
まずは、経理担当者が退職した場合に懸念される3つのリスクを紹介します。
経理担当者がいなくなると、従来のような業務遂行が難しくなります。請求書発行や支払処理に不備が生じたり、月次決算が遅れたりすれば、他企業からの信頼も失われかねません。取引に影響が出てしまうと、売上が下がるなど、組織としても大きなダメージを受けてしまいます。
経理業務は月次・年次単位で行う業務があり、引き継ぎの内容も膨大になります。新たな担当者が覚える業務が多いため、引き継ぎがうまくいかず、業務に支障を来す可能性があります。
担当者の退職のタイミングによっては、引き継ぎの時間をじゅうぶんに設けられず、新たな担当者が「この業務がわからない」と、困ってしまうかもしれません。
新たに担当者を採用するには、採用活動のための費用がかかります。残った従業員が引き継ぐ場合も、慣れない業務に時間がかかったり、業務を兼任して残業や休日出勤が増えたりして、コストがかかってしまいます。
組織が負担する費用が増えるのも、経理担当者退職によるデメリットです。
経理担当者が突然退職することになったとき、組織としてまず何をするべきでしょうか。4つの対処法を見てみましょう。
まずは、担当者の退職を回避できるよう話をしてみましょう。家庭の都合や本人の健康の問題など、退職の理由はさまざまで、引き留められない事情を抱えているケースもあります。
しかし、組織が可能な限り対処すれば引き留められる可能性もゼロではないので、どのような事情を抱えているのかヒアリングをしてみましょう。「人間関係で悩んでいる」「給与面などの待遇に不満を感じている」といった場合は、改善によって退職を踏み留まるかもしれません。
退職がやむを得ない場合は、新たに経理担当者を採用するのも1つの方法です。募集から面接、採用は最低1ヵ月ほどかかり、さらに担当者同士の引き継ぎなども必要になります。
人材不足が深刻視される昨今、特に経理業務は組織が求める人材を獲得するのが難しい状況です。「なかなか応募がない」「希望する人材に巡り会えない」ということもあるので、採用活動は早めにスタートしましょう。
経理担当者を新たに雇用するのが難しいときは、組織内で新たに経理担当者を決めるという方法もあります。小規模な組織は、経理業務を兼任してもらうことも視野に入れましょう。
ただし、新たに担当になった従業員に経理業務の知見がないと、業務が滞ったり、従業員のモチベーションが下がったりしてしまいます。誰を担当にするかを見極めないと、さらなる離職者を出してしまう恐れもあるので、担当者は慎重に検討しなければなりません。
新たな担当者を設ければ、社内に経理業務に関するノウハウが蓄積されますが、前述のようなデメリットを招くことも懸念されます。そこでおすすめなのが、アウトソーシングの活用です。
経理業務を代行する企業や税理士事務所、会計事務所などに依頼すれば、担当者の退職後もスムーズな業務遂行が可能です。経理のプロに任せられれば安心ですし、「経理業務をどうしていけばよいか」と、頭を悩ませる必要もありません。
経理アウトソーシングの活用は、組織の悩み解決につながります。具体的なメリットを開設します。
新たに経理担当者を採用する場合、費用も時間もかかります。理想的な人材が定着すれば問題ありませんが、雇用した担当者が短期間で退職するリスクもあるでしょう。
経理アウトソーシングを利用すれば、採用活動や研修などを行わなくて済みます。採用リスクをなくし、信頼できる依頼先に業務を任せられるのは大きなメリットです。
作業ミスはどのような業務においても起こり得るものですが、担当者が少数で、「お金」に関する業務を任される経理は、特にミスをしないよう慎重に行わなければなりません。
組織内に担当者を置く場合、業務品質は担当者の能力に左右されますが、経理アウトソーシングは専門的な知識を持ったプロが請け負ってくれるので、ミスを防止できます。
経理担当者が少数の組織では、業務の進め方やノウハウを特定の人しか把握できない「属人化」が起こります。また、数字の改ざんや横領などの不正リスクもゼロではありません。
経理アウトソーシングは第三者が組織のお金に関する情報を取り扱うので、こうした内部でのトラブル防止にも役立ちます。
残った従業員が経理業務を兼任すると、コア業務に割ける時間が減り、生産性や売上にも影響が出てしまいますが、経理をアウトソーシングすれば、従業員はコア業務に専念でき、生産性向上も期待できます。
アウトソーシングの利用には費用がかかりますが、精度の高い作業、法改正へのスムーズな対応など、プロならではのサービスが受けられます。従業員の負担や残業代の支払い、生産性など幅広い側面から見ても、組織内で担当者を置くよりもコストを抑え、よりよい業務遂行につながる可能性が高いでしょう。
担当者退職後も、経理業務を滞りなく進めるためには、どのようなポイントに注目してアウトソーシングを検討すればよいのでしょうか。注意したい点は、以下の6つです。
・委託する業務を明確にする
・セキュリティ体制をチェックする
・柔軟に対応してくれる依頼先を選ぶ
・専門性の高いスタッフが在籍しているか確認する
・実績やクチコミも参考にする
・複数の業者を比較する
「経理業務」と一口にいっても、その内容は幅広く多いため、すべての業務を任せると費用も高額になってしまいます。「自社でできるもの」「できないもの」は事前に洗い出し、委託内容を明確にしましょう。また、アウトソーシング利用時には、自社のお金の流れや個人情報など、機密情報を共有する必要があるため、セキュリティ体制の確認も必須です。
さらに、組織によっては「複数の業務をまとめてアウトソーシングしたい」「スポット的に依頼したい業務がある」ということもあるでしょう。幅広い業務に柔軟に対応してくれるアウトソーシング先を選べば、ミスマッチが起こりにくいです。
このほか、スタッフの専門性やアウトソーシング先の実績、利用者のクチコミなども、理想的な経理アウトソーシング実現のためにチェックしたいポイントです。
はじめから1つにしぼらず、複数のアウトソーシング業者から見積もりを取って詳しい話を聞くと、安心して任せられる委託先が見つかるでしょう。
経理担当者が突然退職すると、組織は大きなダメージを受ける可能性があります。新規雇用や従業員の業務兼任などでも対処できますが、迷ったら経理アウトソーシングを活用するのがおすすめです。
残された従業員が快適にコア業務に専念できる環境作りのために、最善の方法を検討しましょう。
ファーストアソシエイツは、知識・経験豊富な税理士が在籍する経理アウトソーシング会社です。お客様のご要望に沿ったサポートはもちろん、お悩み解決に向けたサービスのご提案もさせていただきますので、お気軽にご相談ください。