COLUMN
業務改善の方法はさまざまですが、昨今はDX(デジタルトランスフォーメーション)を活用するケースも増えています。特に、経理部門はDXを活用すると、大幅な改善が期待できるのでおすすめです。
今回は、経理DXのメリットや具体的な活用方法、注意点などを解説します。
DXとは、デジタル技術を活用し、企業がビジネスにおけるさまざまな変革を行うことです。DXは業務プロセスの改善をはじめ、製品・サービス・ビジネスモデルの変革、顧客体験価値の向上などに貢献します。
DXは、フロントオフィス業務への活用が重視されがちですが、実はバックオフィスの経理部門でも注目を集めています。経理DXが必要とされる理由は、大きく2つあります。
経理業務は専門性の高い内容も多いため、担当者には知識や経験の豊富さが求められます。そのため、後任の担当者がなかなか現れない、経理担当者の数が足りないといった人材不足が進んでおり、ベテランの従業員の負担が大きくなっている企業も少なくありません。
DXは、限られた人材でもスムーズに経理業務を進めるために役立ちます。デジタル技術に置き換えられる作業をDX化すれば、担当者の負担が軽減でき、本当に必要な業務に時間を割くことができます。
2022年1月に電子帳簿保存法が改正され、電子取引で受け取った書類は、紙媒体での保存が禁止となりました。電子データでの保存が義務づけられるようになって以降、保管のためのシステムやツールの需要は大きくなりました。
また、2023年10月にインボイス制度により、適格請求書とそうでない請求書の区分管理も、経理業務に加わりました。昨今見られる制度変化は、人材不足で悩む経理部門の負担をさらに大きくしているため、DX活用による対策の必要性はより重視されています。
経理部門の業務改善方法としてDXを推進すると、企業全体のメリットにもつながる可能性があります。期待できる4つのメリットを紹介します。
DX化によって、人の手で行わなければいけない経理業務が削減すれば、人的コストが削減できます。なかには複数ある業務プロセスの半分以上を担うDXサービスもあるので、活用によって年間数百時間の業務時間をカットできる場合もあり、人件費(残業代)削減にも役立ちます。
また、DXはペーパーレス化にも貢献します。これまで紙で管理していたデータをデジタルで管理するようになれば、印刷代や郵送料がかからず、保管のためのスペースを確保する必要もなくなるでしょう。
DX化で担当者の負担が軽減すれば、重要な業務(コア業務)に専念できる時間が増えます。経理担当者は優先的にやるべきことに集中できますし、小規模な企業では、経理業務に携わる人材を最低限に抑えてコア業務を強化することで、売上アップも期待できます。
DX化によって紙の消費量が減れば、環境に配慮するSDGsへの貢献も可能です。SDGsの内容はさまざまですが、バックオフィス部門のペーパーレス化は、DX推進によって比較的簡単に実現できる内容なので、ここからスタートしてさまざまなSDGsへの取り組みを実施していけば、企業のイメージアップにもつながるでしょう。
経理部門をはじめとしたDX推進で働き方が変われば、従業員のエンゲージメントが高まります。また、SDGsへの取り組みなども含めて企業評価が上がると、優秀な人材を確保しやすくなるというメリットもあります。
経理業務は大きく「財務会計」「債務管理」「債権管理」の3つに分類できます。それぞれの業務において、どのようにDXが活用できるのかを解説します。
財務会計は、税務署や債権者など、企業の外部に向けた会計業務を指します。自社の財務状況や経営状況を報告する書類作成が、主な業務です。DXを活用すると、各システムとの連携によって、自動で決算報告書などの書類が作成できるようになります。
債務管理は、自社が抱える債務の計上や支払い予定の管理、納品書や請求書のチェックなどの業務を指します。債務の支払いまでを管理する重要な業務ですが、人の手で行うと不具合やミスが発生し、取引先に迷惑をかけてしまうリスクがあります。
請求書受領などのDXサービスを活用すれば、会計システムへの入力や請求書のファイリング・保管などの作業を削減できます。また、人的ミスが発生しないので、作業のやり直しなどの「ムダ」を省くことも可能です。
経理の業務改善におすすめのDXですが、導入前にはメリットだけでなく注意点も把握しておく必要があります。
新たにデジタル技術やシステムを導入する際には、コストがかかります。費用はシステムによって異なり、DX化する内容や求める機能が多いほど、コストは大きくなります。企業の規模によっては、DX化によってよりコストがかかってしまう可能性もあるため、注意が必要です。
コストがかかっても、「費用対効果が高い」と判断すれば、DX化を進める企業は多いでしょう。しかし、新たなシステムに関する知識があり、使いこなせる人材がいなければDXを活用できません。
対策としては、デジタル初心者も簡単に使えるツールを選ぶ、システムに関する知識のある人材を採用する、慣れるまでサポートしてくれるサービスを利用するといった方法が挙げられます。よりよい業務改善を実現できるシステム、方法はよく検討し、後悔のないよう選びましょう。
経理部門の業務改善を図る場合は、アウトソーシング(外注)も視野に入れましょう。税理士事務所や経理アウトソーシング専門の企業は、経理業務代行の際に、デジタルツールを活用しているケースも多いです。
クラウド会計を利用した経理代行は、自社の財務情報をいつでも確認できるのもメリットです。また、経理業務の効率化・自動化に向けた最適な提案やサポートを行ってくれるアウトソーシングも多く、プロの知識とIT技術で、経理部門の業務改善を成功に導いてくれるでしょう。
経理部門におけるDX推進は、コア業務強化やコスト削減など、業務改善に大きく貢献します。メリットの多いDXですが、注意点も踏まえたうえで導入を検討しましょう。
ファーストアソシエイツは、税理士が行う経理DX代行サービス「FiNavi(ファイナビ)」を提供する企業です。お客様のご要望に沿った経理業務の代行・支援で、業務改善を後押しします。ご希望に応じて、オフィスを訪問してのサポートなども可能です。
経理DX、経理アウトソーシングをご検討中の場合は、お気軽にご相談ください。