• COLUMN

    • 2024.10.11

    中期経営計画とは?|未来会計にシフトチェンジできる作成ポイントをわかりやすく解説

    中期経営計画は、今後3年から5年間の視点で企業の中期的な成長や発展を見据えた計画のことです。

    具体的な収益などの数値を示すこともあれば、新たな取り組み等、戦略を示すこともあります。中期経営計画で重要なことは、自社の数値から、自社のあるべき姿・やるべきことを明確化させることです。

    中期経営計画の目的

    中期経営計画の意味と意義

    中期経営計画を作成する意味はなんでしょうか。

    直近の営業目標ではない、3年から5年という「少し先の未来」を中期の計画として置いているのは、会社の現在の立ち位置と、将来目指している姿のギャップを埋めるために何をするのかをまとめるためです。

    毎年予算や目標を設定して、振り返りをしっかり行っていても、この後どうしていきたいのかの方針が定まっていないと、「同じところでずっと足踏みしていた」「思い描いていたことがまったく達成できていない」ということに陥りかねません。

    そこで、会社をより成長させるために長期的なビジョンやミッションの策定が重要になります。しかし、素晴らしいビジョンやミッションを掲げていても遠すぎる未来だとそれを実現するために何が必要なのか具体的に設定しにくいのが現状かと思います。

    そのため自社の成長戦略を、想像しやすい範囲、つまり3年から5年程度先の未来で想像し、具体的にどんなことをすれば叶えられるかを具体化させることが求められており、それが中期経営計画なのです。

    例えば、漠然と「売上を伸ばす」という目標よりも、「売上を3年後に2倍にする」としたほうがより分かりやすいですし、さらに「3年後に〇〇エリアでシェア1位になる」などと具体的に目標を立てたほうがより行動しやすくなります。達成までの道筋が見えると、従業員のモチベーションが上がるだけではなく、無駄なリソースを割くこともなくなり、生産性も上がります。

    経営管理に必要な4つのポイント

    具体的な中期経営計画に必要なことは、大局的・網羅的に経営管理をイメージすることです。事業計画を立てただけではなく、実際の行動につなげられなくては意味がありません。

    つまり、会計などの根拠をもとに、進め方がわかりやすいことが重要です。

    具体的には下記の4つのポイントを明確化させます。

    ① 将来の利益
    ② 将来の資金繰り
    ③ 将来の売り上げ構成

    自社の数値を見える化し、ありたい姿から逆算した「今やるべきこと」を明確化させることで、「未来」に向けた経営管理が可能になるのです。

    では、具体的に、どのように取り組めばよいのでしょうか。

    その答えの一つが「未来会計」です。

    「未来会計」にシフトチェンジする理由

    「未来会計」とは、経営の意思決定をするための会計を指します。

    税務署や銀行への提出物のための税務計算など、いわゆる「過去会計」といわれる財務会計のままでは、会社の未来について考えることは難しいでしょう。

    企業を成長させるには、会社の成長を思い描き、戦略を明確にする「未来会計」にシフトチェンジすることが求められています。

    未来会計にシフトチェンジすることで、経営課題を具体的に認識することができます。たとえば、収益性の高いサービスを実施するため、営業コンテンツとして活用できるものを構築するなど、未来に向けて具体的に取り組むことが出来るのです。

    未来会計の第一歩として、経営支援クラウドbixid(ビサイド)のご提供も可能です。

    会計データの可視化や、月次決算・キャッシュフローの把握など、属人化しがちな経営管理業務を標準化し、未来会計の実現を可能にします。

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    中期経営計画の作り方と策定ステップ

    では、「未来会計」を活用して中期経営計画を作ってみましょう。

    具体的には、下記のような手順を踏んでいきます。

    STEP1 自社の置かれている環境を理解する
    STEP2 抱えている課題を明確化する
    STEP3 課題に対し、どう立ち向かうのかを考える
    STEP4 具体的に行動を整理する

    それぞれ詳しく解説していきます。

    株式会社ファーストアソシエイツでは、中期計画セミナーを実施しています。実際に自社の中期経営計画の作り方を学べるだけではなく、行動計画の整理まで財務会計のプロがお手伝いしますので、興味のある方はぜひお問い合わせください。

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    STEP1 自社の置かれている環境を理解する(科目別分析)

    未来を見据えるために重要なことは「現状分析」です。

    まず、自社の置かれている環境を理解するために、決算の推移を確認します。

    具体的に把握することは収益・ヒト・経費です。

    重要科目の傾向や、見込みを把握し、自社の実力を客観的に把握しましょう。

    STEP2  抱えている課題を明確化する(売上項目分析・取引分析)

    基本的な現状分析をしたら、次は詳細に自社の構成を分析します。

    具体的には、売上項目と取引実績の分析です。

    自社の粗利構成や、重要経費科目の内訳について、商品・サービス別に分解して課題を明確化します。

    ここで、自社の強みや弱みを把握していると、実行可能なアクションプランを策定するときの参考になります。

    STEP3 課題に対し、どう立ち向かうのかを考える(中期計画作成)

    STEP1・2を経て、初めて未来を見据えた「中期経営計画」の作成が可能になります。

    5カ年分の売上・売上原価・人件費・重要経費の計画を作成します。

    自社の置かれている環境・課題が明確化している状況なので、「課題に対し、強みをどのように生かすのか」「抱えている弱みを強化するにはどうすればいいのか」を決算の数字ベースに計画を立てることが出来ます。

    STEP4 具体的に行動を整理する(行動整理)

    「会計」ベースで課題に向き合うと、ときには当初の計画の変更や、考え方自体を変える必要性も出てくることでしょう。

    そんなときにどう行動すればいいのか、そしてそれを浸透させるにはどうしたらいいのか、行動の整理も非常に重要です。

    目標を達成するため、進捗管理をしながら「何が望ましいのか望ましくないのか」を明確にして行動計画を作成しましょう。

    株式会社ファーストアソシエイツでは、自社の成功戦略を明確にする「経営ビジョン」を作成するお手伝いをしております。STEP1~4を財務会計のプロが実際にお手伝いしながら、成長企業のための中期経営計画の策定方法をお伝えしています。お気軽にお問い合わせください。

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    中期経営計画作成の注意点

    中期経営計画を作成するには、いくつかの注意点があります。

    完璧を求めすぎない

    陥りがちな注意点は「完璧を求めすぎない」ということです。

    特に製造業など外部環境に影響を受けやすい業種・業態の場合は完璧な計画を描くこと自体が難しい状況です。そのため、ある程度の柔軟性を持たせることが大切です。

    常に見直しを行う、という意識で計画に向き合いましょう。実行していきながら修正を重ねていき、現実に測した方向性を見つけ出していきましょう。過度な完璧主義は避け、自信をもって行動できるようにすることが成功の鍵です。

    矛盾点の確認

    部門ごとで、もしくは商品ごとでは矛盾はなくても、会社全体でみると計画内部に矛盾点が存在する場合があります。

    最初は気にならなくても、徐々にひずみとなっていきます。また、行動に一貫性がなくなると現場は混乱し、どの方向に進むべきかが不明確になり、深刻な問題を引き起こす可能性があります。

    矛盾の早期発見には、関係者間のオープンなコミュニケーションが重要です。情報の開示や、定期的なフィードバックのセッションなど、問題を共有し、解決策を見つけていく過程で整合性を高めていきます。関係者間の円滑なコミュニケーションは、計画のスムーズな実施にもつながります。

    計画の見える化の重要性

    計画を立てても、それがどこまで進んでおり、どのくらい達成しているのかを見える化することは非常に重要です。関係者全員が共通の理解をもち、計画に対する意識を高められるよう、視覚的な資料や図表を使ってわかりやすく数値目標やスケジュールに対する進捗状況を伝えることで、各部署がどのように貢献できるかが明確になり、協力を得やすくなります。計画を見える形で追えるようにすることで、実行の確実性が増します。

    これは、企業内部だけではなく、ステークホルダーに向けても計画の意義を伝える手段でもあります。

    中期経営計画に関するよくある質問

    中期経営計画に対してよくある質問をご紹介します

    長期経営計画、短期経営計画との違いとは?

    長期経営計画 … 10年後など、将来的に自社がどうなっていたいかをまとめたもの

    短期経営計画 … 毎年作成し、通常1年以内の期間において具体的な業績目標や施策をまとめたもの

    長期経営計画では、企業の目指すビジョンや目標を設定し、組織のあるべき姿を明確にしています。一方短期経営計画では、直近の施策が中心となるため資源の最適配分や日常業務の改善を図ることができます。

    中期経営計画は、その中間の立ち位置で3〜5年の視点でバランスの取れた戦略を描く役割を果たします。

    中期経営計画は必須か?

    中期経営計画は、企業の戦略的な運営において策定することをおすすめしています。

    急速に変化する市場環境や競争の激化に対応するためには、計画的なアプローチが不可欠です。中期経営計画があることによって、組織全体が共通の目的に向かって進むことができ、リソースの最適化を図ることができます。さらに、明確な指針が存在することで、関係者間でのコミュニケーションが円滑になり、協力体制が強化される利点もあるでしょう。

    中期経営計画は単なる計画ではなく、企業にとって実際の運営に実利をもたらす重要なツールとなるのです。

    まとめ 未来会計の実践で企業価値を高める

    未来の成功戦略を明確にするには、未来を見据えた会計が必須です。

    事業環境は、ますます不安定化しています。増大するリスクに対し、自社の未来を少しでも可視化して備えていきましょう。

    目先の数値と少し未来の数値を整えることは、経営方針の明確化につながります。

    それは、企業の競争力を一層向上させ、将来の大きなビジョンの実現に近づきます。

    株式会社ファーストアソシエイツでは、数値計画だけではなく行動計画の整理まで中期経営計画策定のお手伝いをしております。

    お気軽にお問い合わせください。