COLUMN
日々の業務のなかには、自社が提供する商品やサービス、働く従業員に悪影響を及ぼしているものがあるかもしれません。問題を解消し、さらなる業務の効率や生産性アップを図るためにも、現状を見直し改善していくことが大切です。
今回は、業務改善の目的やメリット、具体的な方法を解説します。
まずは、企業内での業務改善がなぜ必要なのかを確認しましょう。
業務改善とは、現在行われている業務に無駄や問題がないか見直し、改めることです。
業務効率化や生産性向上を目的に行われることが多く、業務改善が正しく行われれば、よりよい労働環境の実現や、企業の利益アップも期待できます。
少子高齢化が進むなか、生産年齢人口(15歳以上、65歳未満の人口)も減少の一途を辿っています。これによって起こる労働力不足は、さまざまな業種・職種の深刻な問題の1つです。
また、働き方改革によって、個々の労働時間を増やすことも難しいといえます。規定の労働時間内によりよい業務をこなすには、無駄をなくし、効率的に進められるシステムづくりも重要です。
そのため、近年は業務改善の必要性が高まっており、さまざまな企業が業務改善を検討しています。
業務改善が必要かどうかは、経営者や従業員が判断できない場合もあります。「自社は大丈夫だろう」と思っていても、実は業務改善によってよりよい業務遂行につながるケースは多いです。
どの組織にとっても重要な業務改善ですが、特に必要なのは次のようなケースです。
従業員数と業務量が見合わない、「無理」な働かせ方をしている場合は、業務改善の必要性が高いといえます。
仮に人員に対して無理のない業務量だったとしても、適切な配置が行われていなければ、どこかにしわ寄せがきてしまいます。
無理な働き方は業務に支障を来す恐れもあるため、早期見直しが求められます。
意味のない業務、二重作業となっているフローなど、「無駄」があると生産性や効率を低下させてしまいます。「必要不可欠だ」と思っている業務も、見直してみると実は無駄があったり、業務そのものが不要だったりするかもしれません。
何が無駄で、何が必要かを見極めるためにも、業務改善は重要な役割を果たします。
業務量や業務内容に問題があると、業務のムラの発生にもつながります。業務改善を通して、対応する部署・人材が適切ではない、部署や個人によって業務の振り分けが異なるといったムラをなくすことも大切です。
業務改善を行うと、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。
生産性向上、業務効率化を含む4つのメリットを紹介します。
生産性向上は、企業全体の利益アップにつながる要素の1つです。業務の無駄がなくなると、同じ労働時間、人員でもより質のよいサービスを提供したり、生産量をアップさせたりできます。
また、スムーズな業務の遂行で空いた時間には、プラスアルファの業務にも取り組めます。
業務改善によって無駄が省かれれば、いままでかけていた時間を削減できます。
残業時間が短縮されれば、残業代も少なく済みますし、プラスアルファの業務による利益の向上も期待できます。
不要な業務をなくしたり、正しい振り分けをしたりすると、労働環境は自然によくなっていきます。長時間労働によるストレスやミスがなく、快適に働ける職場づくりを実現すれば、従業員のエンゲージメントも高まり、優秀な人材が企業に長く貢献することにもつながります。
業務改善といっても、業種や職種、現状などによって方法はさまざまです。具体的な方法と、期待できる効果を紹介します。
業務内容を資料にまとめるマニュアル化は、無駄な工程をはさまず、一定の品質を保つのに有効です。テキストや図などでわかりやすくまとめれば、業務の引き継ぎもスムーズに行えます。
また、資料を作成するなかで、不要な工程がないかを見直すことも可能です。サポート担当者を設ければ、従業員による業務のムラを防ぎ、それぞれが同じ労働力として機能します。
IT技術を活用した自動化も、一般的な業務改善方法の1つです。人の手で行う必要がない作業や、自動化したほうが早い内容は、業務改善の対象となります。たとえば、データ入力や集計、リサーチ、システムの監視などには、自動化を取り入れている企業も少なくありません。
自動化で空いた時間は、別の重要な業務に割くことができるため、結果として業務効率化や生産性向上が見込めます。
業務全体を見直すと、「この業務は1つにまとめたほうが効率がよい」という内容も出てきます。統廃合は同一部署内だけでなく、全社的に行うのも有効です。
業務改善にあたっての見直しで「本当に必要だろうか」「業務の目的が明確ではない」と思われる業務は、この機会に思い切って排除するのもよいでしょう。
業務効率化に向けたシステム導入も、おすすめの改善方法です。たとえば、ビジネスチャットツールを使えば、情報漏えいリスクを軽減しながら、リアルタイムで情報共有ができます。また、従業員同士のコミュニケーションも促進されます。
タスク管理ツールは、進捗状況の可視化が大きなメリットです。タスクの優先順位をつけたり、作業の漏れを防止したりするのにも役立ち、チーム内での確認・協力にも活用できます。
このほか、業務改善に役立つシステムにはWeb会議ツールやワークフローシステム、SFA・CRM、ERPシステムなどもあります。
同じ用途でも、システムによって機能やコストは異なるので、課題解決に役立つシステムを検討しましょう。
自社の従業員だけでは「無理」が生じてしまう場合には、外注(アウトソーシング)を利用した業務改善も視野にいれましょう。業務の一部をその道のプロに外注すれば、従業員の生産性が向上します。
アウトソーシングに適している業務には、以下のようなものがあります。
・総務のメール・電話対応、来客対応、文書管理など
・営業のアポ取り、営業リスト作成、情報収集など
・採用に向けた応募情報やスケジュールの管理、面接代行など
また、給与計算や記帳処理、年末調整などの経理業務をアウトソーシングするのもおすすめです。
経理アウトソーシングは、税理士事務所や経理専門のアウトソーシング会社が行っています。
経理担当の従業員を雇用する場合のデメリットやリスクをなくしながら、専門知識を生かしたミスのない経理業務遂行を実現可能です。
業務改善は、現状の業務におけるムリ・ムダ・ムラを洗い出し、改めるものです。業務改善の方法はさまざまですので、問題に合った改善方法を選択し、高い効果を実感しましょう。
「後任の経理担当者がいない」「経理担当者が1人で業務が回らない」「従業員が少ないため、経理業務を兼任する従業員がいる」など、経理関連のお悩みは、アウトソーシングによる改善がおすすめです。
経験豊富な税理士が在籍するファーストアソシエイツでは、お客様のお悩み解消に向けた改善方法をご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。