COLUMN
従業員が少ない企業では、経営者が担う業務負担が大きくなりがちです。しかし、業務のなかには経営者がやらなくてもよいことがあるため、見極めも重要です。
今回は組織の成長に向け、経営者がやるべき業務とそうでない業務を解説します。
目次
従業員数が少ない小規模企業を中心に、中小企業の経営者が抱えやすい悩みは複数あります。最も大きな悩みの1つが資金繰りや売り上げといった金銭面の問題ではないでしょうか。
また、優秀な人材の確保と定着、マネジメントなどの人材面の悩みも、大企業と比べて深刻です。少人数でコア業務やバックオフィス業務をこなしながらの採用活動や人材育成は、担当者の負担を大きくします。
ほかにも、属人化防止やデジタル化、業務効率化など、「実現したいのになかなか手が付けられない」というタスクが常に存在するのも、小規模企業が抱えやすい問題だといえます。
「従業員の負担を軽減したい」「少しでも売り上げを上げたい」という課題をクリアするために、日々さまざまな業務に携わる経営者も少なくありません。しかし、組織全体の成長のためには、経営者が積極的に関わらないほうがよい業務も存在します。
電話対応や来客対応、スケジュールの調整など、事務的な作業は専門性を必要としない内容も多いです。
経営者が率先してこれらの作業に関わり、「背中で見せていく」というのも悪いことではありませんが、「経営者にしかできない業務」に費やせる時間が減ってしまうため、可能な限り従業員に任せるのがおすすめです。
経費精算や売上集計など、細かな数字を管理する経理業務のなかには、日々行わなければいけない作業もあります。お金の計算は特にミスが許されないため、慎重に進めると時間も大幅に取られてしまいます。
経理業務は専門的な知識がある担当者を置いたり、アウトソーシングでプロに任せるのがよいでしょう。
日報や資料作成のような進捗報告も、経営者以外の従業員が担当したほうがよいといえます。ルーティン的に発生する作業は、たとえ短時間でも経営者がやるべき業務に使える時間を日々減らしていきます。
資料作成も必要な情報をもとに従業員が行ったほうが効率的ですし、個々のスキルアップにもつながります。
データ入力や書類整理、集計作業、メール対応などの単純作業は、誰が行っても大きなトラブルが起こりにくい内容です。
状況によっては経営者も単純作業を担う必要があるかもしれませんが、基本的には従業員に任せられるようにしておくと、やるべき業務により集中できます。
クレームが入った場合、経営者が「代表だから」と無理に対応するよりも、状況や対処法を熟知した担当者や担当部署が適切に対応したほうがスムーズです。
特に、一次対応はマニュアルを作成したり担当窓口を設けたりしておくと、従業員もイレギュラーな業務で心身を疲弊させる心配を軽減できます。
後述しますが、会社の方向性を定めたり、意思決定をしたりという重要な業務は経営者でなければできません。反対に、経営判断を伴わないさまざまな業務は、経営者以外が担当しても問題なく遂行できます。
ただし、「誰でもできるだろう」という姿勢で業務分担をするのは従業員のモチベーション低下を招く恐れがあります。業務分担の際には、個々の成長につながる機会として割り振りをするなど、従業員への配慮も忘れないようにしましょう。
経営者だからといって、どのような業務もパーフェクトにこなせるわけではありません。そのため、自身が不得意な業務を請け負えば、業務効率は低下してしまいます。
「できないから」と投げ出すのではなく、適切な人員配置を心がけることで、自身も従業員もスキルを生かした効率的な業務遂行を実現できます。
経営者として日々行うべき業務は、大きく5つあります。
やらなくてもよい業務を信頼できる従業員に任せられるような体制を整えたら、組織の成長に向けて次の業務に集中しましょう。
会社の将来の方向性や目標など、経営方針を策定するのは経営者です。ただ大きな目標を掲げるだけでなく、達成に向けて具体的にどのような取り組みをするべきかなどは、戦略的かつ継続的に考えていく必要があります。
業務効率化や従業員のモチベーションアップなど、生産性向上に向けた取り組みを考え、実行するのも経営者の役目です。
経営者1人では会社は成り立たないので、従業員それぞれが持つスキルや経験を把握した担当決めや、働きやすい環境作りなど、組織全体の士気が上がる体制作りに尽力しましょう。
事業拡大に向けた資金調達は、多くの企業が行っています。自社のさらなる成長や経営目標達成に向け、必要な資金をどこから、どのように確保するかを検討します。市場調査なども併せ、資金調達に向けた準備を進めるのも、経営者がやるべきことの1つです。
従業員が新たなスキルを習得したり、いま持っている知識や技術をさらに磨いたりすれば、組織全体の成長にもつながります。セミナー受講や資格取得のサポート、新たな業務への挑戦など、従業員育成に向けた取り組みを考え、実施するのも経営者です。
また、優秀な人材へと成長した従業員が、長く自社で働いてくれるようにするには、コミュニケーションの促進や福利厚生の充実、給与面での待遇なども考慮する必要があります。
業務効率化のためには「ムリ・ムダ・ムラ」をなくすことが大切です。経営者がやるべきことに集中するには、「やらなくてもよい業務」を従業員に任せるのが最善ですが、小規模企業では経営者の負担が大きくなるケースも少なくありません。
人手不足のなかでも経営者にとっての「ムダ」を減らすなら、アウトソーシングの導入も検討しましょう。
一部の業務を専門的な企業に外注するアウトソーシングは、経営者や従業員がコア業務に集中できる環境を実現できるのが大きなメリットです。また、担当者の採用や育成にかかるコストや人件費などのコストも削減できます。
さらに、特定の分野の高い知識やスキルを持った外注先に業務を任せられる安心感、ミスのない作業も、アウトソーシング利用のメリットです。
さまざまな業務のなかでも、特にアウトソーシングをおすすめしたいのは経理業務です。社内のさまざまな”数字”を扱う経理担当者には、豊富な知識や経験が求められます。そのため、小規模企業では属人化や、担当者の退職による人材不足などが起こりやすいです。
経理アウトソーシングを利用すれば、日次や月次で発生するさまざまな作業を一任できます。アウトソーシングの範囲は委託先と話し合って決められるので、一部の業務を自社で担い、複雑な業務のみを外注することも可能です。
費用や経営者、そして従業員の業務負担を加味しながら、誰もが「やるべき業務」に集中できるようなアウトソーシングの活用を、ぜひ検討してみてください。
小規模企業で起こりがちな「経営者の過度な負担」は、やるべき業務とそうでない業務を明確にすることで軽減できる可能性があります。組織全体の成長に向け、「経営者としてのコア業務」を改めて考えてみてはいかがでしょうか。
ファーストアソシエイツは、経理アウトソーシングで経営者の方の「やらなくてもよい業務をサポートします。幅広い経理業務に対応可能なだけでなく、バックオフィスの効率化に向けたアドバイスなど、経営者に寄り添ったサービスを展開しておりますので、お気軽にご相談ください。