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業務における時短とは、労働時間の短縮を意味します。1つひとつの業務にかける時間のムダを省き「時短」することで、組織はどのようなメリットが得られるのでしょうか。
今回は、「時短」実現によるメリットや、導入しやすい業務改善アイデアなどを紹介します。
目次
まずは、業務の時短が組織にもたらす3つのメリットを見てみましょう。
作業の質を落とさずに時短するためには、多くの人が効率的に作業しやすいシステムや環境を整える必要があります。「働きやすい仕組みづくりができている」と周知されれば、企業のイメージアップにつながります。
「働きやすい企業」だと多くの人が認識すると、「ここで働きたい」と思う人も必然的に増えます。自社の理念や希望にマッチした優秀な人材を確保しやすくなるのも、「時短」に向けた業務改善のメリットです。
また、従業員の満足度がアップすれば、優秀な人材が長く自社で働いてくれるので、離職率の低下も期待できます。
時間の「ムダ」が生じると、業務効率が下がったり、残業時間が増えたりしてしまいます。業務改善で「時短」できれば、効率的な作業によって時間内にやるべきことを終えられ、プラスアルファの業務にも取り組めます。
残業代などのコストが削減できるのは、組織にとって大きなメリットです。また、従業員も残業が少ないことで心身の負担が軽減すれば、満足度がより高まるでしょう。
時短によるメリットを得るなら、業務改善がおすすめです。業務改善とは、業務プロセスを見直し、改善する取り組みをいいます。従業員1人ひとりの意識を変えるだけで実現する業務改善から、新システムや設備の導入といった大がかりなものまで、幅広くあります。
時短につながる業務改善は、「ムダ」を省くことを意識して行うと、成功しやすいでしょう。
業務の時短に向けて、組織はどのような改善を行っていくとよいのでしょうか。具体的なアイデアをいくつか紹介します。
「何がムダか」「時短するにはどうすればよいか」ということを考えるには、まず「どのような業務があるのか」を洗い出すことが重要です。個々が行う業務を細かく見直すと、不要なものや、効率化できる業務が見えてきます。
日々当たり前のように行っている作業のなかにも、「本当は必要ない」「もっと短い工程で行える」というものがあるかもしれませんので、見直しは必ず行いましょう。
マニュアルとは、1つの業務の内容や具体的な手順をわかりやすくまとめたものです。また、フローチャートは、1日のなかでどのような業務があるか、どういった流れで進めるかを記したものをいいます。
フローチャートで全体の流れを確認しながら、マニュアルに沿って作業を進めていけば、ムダなく作業ができます。図や表、動画などを用いて、誰でも理解しやすいものにすること、フローチャートやマニュアルのなかに「ムダ」を入れないことを意識して作成すると活用しやすいです。
業務がスムーズに進まないときは、担当者を変更してみるのもよいかもしれません。仕事においては、あまり得意ではないこともこなしていかなければいけませんが、「AさんよりBさんのほうがこちらの業務に向いている」という場合もあります。
担当者の変更は、経営者や人事担当者との話し合いの場を設けることから始めます。現状を把握し、当人や部署の責任者の意見も踏まえながら、ベストな配置を検討しましょう。
ションツールを活用すると、時短につながります。ビジネスチャットは、個人やグループでリアルタイムなやり取りが可能です。
たとえば、ミーティングの日時を決める場合、メールは該当者すべてを送付先に設定し、挨拶から始まり、それぞれの返信を1つずつ確認しなければなりません。
しかし、ビジネスチャットなら「To ALL」のように、ボタン1つでグループ内の全ての人を送付先に設定できる機能があるので、すぐにメッセージを送れます。また、「お疲れさまです」と簡単な挨拶から始まり、用件を簡潔に伝えられますし、返信も一気に確認しやすいです。スケジュール調整機能などがあるツールを使えば、日程調整がより簡単にできます。
社内だけでなく、外部とのやり取りが可能なコミュニケーションツールもありますので、自社に合ったものを選びましょう。
よく使用する文書などは、ベースがあると作成がスムーズです。たとえば、提案書や議事録などのフォーマット、メールのテンプレートなどを作っておけば、型に沿って必要な内容を埋めていくだけで済みます。
ゼロから作成する手間を省いて時短できることはもちろん、誰が作成しても統一感を保てるのでおすすめです。
定型業務のなかには、デジタルの力で自動化できる内容も多くあります。以下のようなIT化・電子化を行えば、時短につながる可能性が高いです。
・お問い合わせ対応→AIチャットボット
・タイムカードチェック→勤怠管理システム
・経費精算→会計ツール・ソフト
・契約書の管理→ワークフローシステム
・スケジュール調整→日程調整ツール
・スケジュール確認→リマインド機能
時短はもちろん、人の手による作業で起こりがちなミスも防止できます。
外部の専門組織に業務を委託する「アウトソーシング」も、業務の時短に有効です。従業員の負担を軽減し、作業効率アップも見込めるアウトソーシングは、経理をはじめとしたバックオフィス業務で注目を集めています。
アウトソーシングの活用は、特に小規模な組織におすすめです。従業員が業務を兼任していたり、退職に伴い人手不足に陥ったりという場合も、アウトソーシングを活用すればコア業務に影響が出にくいといえます。
外注費用はかかるものの、採用活動や研修、給与や残業代といった人件費と比べると、アウトソーシングのほうが安価なケースも多いです。
ここまで紹介してきた内容は組織主導で行うものですが、従業員1人ひとりのちょっとした工夫が、時短につながる場合もあります。個々ができる業務改善アイデアは、以下の通りです。
・デスクトップやフォルダを整理する
・ユーザー辞書登録で変換を簡単に
・ショートカットキーや関数・マクロなどを活用する
・タスク管理をパソコン上で行う
・時間を区切って作業をする
・スキルアップにつながる勉強をする など
作業をしやすい環境作りのために、デスク周りはもちろん、パソコン内も整理しましょう。また、便利なショートカットキーや関数、ユーザー辞書などを活用すると、作業効率がアップするケースも多いです。タスクは手書きではなく、パソコンを使って管理すると見落としが少なく、優先度も判断しやすくなります。
ほかにも、集中力を持続するために、ダラダラ作業するのではなく時間を区切る、「タイピングが早くなるように」「英語のワードに強くなるように」と、業務に役立つ勉強をするなど、さまざまな工夫をしてみてください。
時短に向けての業務改善アイデアは、ほかにもたくさんあります。しかし、すべてを一気に進めようとするとうまくいきません。簡単にできそうなことから1つずつ実行し、うまくいったら次のアイデアも取り入れてみるといったように、段階的に行ったほうが、効率化は成功しやすいといえます。
また、一般的には「効率的」とされることも、業務内容や個々の能力によっては、かえって効率が悪くなる可能性もあります。業務改善アイデアを決定事項として、「実行するように」と促すだけでなく、現場の声を聞いて、「時短につながっているか」「より効率的に進めるにはどういった方法がよいか」などを考え、従業員のフォローをすることも忘れないようにしましょう。
業務効率化によって時短ができれば、企業のイメージアップや求める人材の確保など、多くのメリットが期待できます。多くの業務改善アイデアから自社に合ったものを見極め、1つずつ取り入れてみましょう。
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