COLUMN
働き方改革を成功させるためには、日々の営業活動を効率よく進めていくことが必須です。しかし、どう進めればいいのかお悩みの方も多いことでしょう。
そこで、この記事では業務改善に取り組むためのポイントとアイデアをご紹介します。
業務改善とは、企業が持つさまざまな業務プロセスを見直し、効率化と品質向上を図る取り組みを指します。
それを実現するためには、基本的なステップがあります。
1 業務内容の見える化
2 課題の整理
3 実行計画を作成
4 計画の実行と継続
5 成果の振り返りと改善
これらを達成するためには、従業員の意識改革も重要なポイントです。全員が一丸となって改善活動に取り組むことで、企業は持続的な成長を遂げるための基盤を築くことができるのです。
なぜ、業務改善を行う必要があるのでしょうか。その理由は大きく3つあると考えられます。
1つ目に挙げられる理由は、人材不足です。
2023年の合計特殊出生率は過去最低の1.2を記録し、特に東京では0.99、京都で1.11、大阪で1.19などと都市圏では数字が低迷しており、少子高齢化が進んでいます。
その波は、生産年齢人口の減少という大きな社会問題へとつながっております。
生産年齢人口とは、15~64歳までの全ての人を指しており、1995年をピークに減少を続けています。2050年には、5,275万人に減少すると見込まれています。
一方、15歳以上で実際に労働している者、または働く意思を持ち、仕事があれば働ける者を労働人口と呼んでおり、この労働人口は、微増をしているのです。
中小企業庁によると、女性や65歳以上の労働参加率の上昇が生産年齢人口の減少の影響を緩和したとしています。
企業が安定的なフルタイムの労働力を求めていても、現実的には非正規雇用の割合も増えており、需要と供給がマッチせず、人材不足につながっていると考えられます。
特に、中小企業においてはますます自社の望む人材の確保が難しくなることが予想されており、これまでやっていた仕事をより少ない人数で回す必要が出てきています。そのため、業務の見直し、効率化が求められるのです。
2つ目は、コスト削減の観点です。
業務を見直すことで不必要な業務を洗い出し、新たなフローやツールを活用することで、経費削減につながります。
しかしながら、一見数字に結びついていないように見える業務であっても、実は商品やサービスの品質を保つために必要だった業務があるかもしれません。サービスの品質は、顧客満足度の向上と顧客の信頼獲得に直結します。企業が競争力を維持し、市場での優位性を確保するためには、品質の維持は不可欠です。
品質を維持しながら、業務の改善を目指していきましょう。
3つ目は、従業員の満足度向上です。
働き方改革が推進され、ワークライフバランスについて取り組む企業も増えてきました。コロナ禍をきっかけに、テレワークなどさまざまな働き方が模索されるようになり、会社側も、より働きやすい環境への対応が求められています。
人材獲得が困難な現代社会において、従業員の労働環境改善は、企業内部での働きやすさを向上させ、社員のモチベーションや生産性にも良い影響を与え、従業員の能力を最大化させる非常に重要なポイントといえるでしょう。
また、業務改善は長時間労働の是正にもつながります。長時間労働は、従業員に負荷を与えるだけではなく、心身の不調や生産性の低下、離職率の向上を引き起こします。長時間労働をしている原因は、「業務量」なのか、「無駄な業務・プロセス」なのかを把握し、改善を促すことで従業員の満足度向上にもつながります。
を目指していきましょう。
業務改善が進まない理由は、どのようなものがあるのでしょうか。
業務改善を進めるにあたっては、業務プロセスなど分かりやすい課題だけではなく、目に見えにくい課題も多く存在します。
例えば、従業員による反発や、業務フロー見直しに対する抵抗感などが挙げられます。
これまで、その業務に向き合ってきた従業員であればあるほど、この業務改善に意味はないのではないか、と反発する気持ちをもつ方もいるかもしれません。
また、業務改善が進むことによって、自分の仕事がなくなるのではないか、という不安をもつ従業員もいることでしょう。
しかし、従業員個人に業務負荷が集中したり、業務が属人化したりすることは効率的な職場とはいえません。
従業員からの抵抗を克服するためには、一人ひとりの話をしっかりと聞き、言葉の奥に潜んでいる感情を受け止めるように意識しましょう。業務改善を進めるときには、従業員自身が業務改善の重要性を理解し、積極的に参加してもらうことが必要です。そういった仕組みを取り入れるためには、一見非効率にも見えるステップを丁寧に踏んでいくことが大切です。
業務改善、成功の鍵は従業員の「納得感」といっても過言ではないかもしれません。
なぜ業務改善が必要なのか、業務改善を行ったらどう変わるのか、を従業員に丁寧に伝え続けることが求められています。
反発をする従業員にも、理由があるはずです。従業員がなぜ反発をするのか、時間をかけて話を聞き、また丁寧な説明を心がけましょう。メールやチャットなどのツールに頼るのではなく、できる限り対面で話をするほうが、真意は伝わりやすくなります。自分事と認識してもらい、関わる人すべてに意義を理解してもらうことは、並大抵のことではありませんが、従業員の納得を得られれば、業務改善の成功に大きく近づきます。
少しずつポジティブなマインドに導きながら、小さなことから進めていきましょう。
では、どのように業務改善を進めるのか、基本的なステップをご紹介します。
業務改善の進め方として、5つのステップを意識しましょう。
業務改善の第一歩は、改善する業務の内容の「見える化」です。
・この業務には、どのような要素があるのか
・担当者はだれか
・どのようなフローで進んでいるのか
・所要時間や工数はどのくらいかかるのか
・業務が滞るポイントはどこにあるか
など、業務が発生し、完了するまでのすべての流れと関わる人、かかる時間をできる限り洗い出しましょう。
「見える化」をすることで、業務フローの全体像が明確になり、各工程の問題点や非効率な部分を特定しやすくなります。また、業務量の偏りを平準化することも可能です。
では、どのように進めていけばよいでしょうか。
よく使われるツールは、フローチャートや、プロセスマッピング、バリューストリームマッピングなどがあります。
フローチャート
プロセスマッピング
バリューストリームマッピング
フローチャートは、業務の流れを可視化するためのツール、プロセスマッピングは、主に組織内のフローや階層を図示して可視化しるためのツールです。
バリューストリームマッピングは、製品やサービスの提供に関連するステップを図示しており、一般的に取引先や顧客も含めた全てのフローを整理します。
これらのツールを使う目的は、全員が業務の各ステップを視覚的に理解し、共通の認識をもつことです。また、データの共有も容易になり、情報の一元管理が可能になるというメリットもあります。
ヒアリングの最も重要なポイントは、「ヒアリングをする人を誰にするか」です。ヒアリングする人が、社長や経営陣などのマネジメント層だと、ヒアリングを受ける相手はなかなか本音を話してくれないでしょう。また、ヒアリング対象者と利害関係がないことも大切です。
ヒアリング対象者もできるだけ偏りが出ないように工夫して人選しましょう。現場で実際に業務を行っている担当者や、経営層、関連部門のリーダーなど、幅広い視点が求められます。
ヒアリングをする人が一人だけだと、すべての人に対して中立を保つことが難しい場合があります。その場合は、複数人でヒアリングチームを作り、できる限り中立を保ちながら話を聞けるようにしましょう。
ヒアリング方法は、対面インタビューだけではなく、グループディスカッション、匿名のアンケート調査など、多岐にわたります。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、状況に応じて最適な手法を選びましょう。
メリット | デメリット | |
対面インタビュー | ・想定外の課題や要望が出ることがある ・一人ひとりの声をしっかり聞くことが出来る | ・時間がかかる ・インタビュアーとの相性により、誘導されてしまうことも |
グループディスカッション | ・メンバーの発言から想定外の意見が出てきやすい ・多くの意見が一度に聞ける | ・意見の掘り下げが難しい ・異なる意見を拾いにくい |
アンケート | ・手間がかからず、多くの人に意見を聞ける | ・想定内の意見しか出てこない ・意見の掘り下げが難しい |
アンケートやグループディスカッションで大枠を理解したうえで、対面インタビューをし掘り下げる、などいくつかの手法を混ぜ合わせても良いでしょう。
対面インタビューの場合のポイントは、質問内容を事前に整理し、具体的かつ明確な質問を投げかけること。また、回答を得る際には、どんなに小さなことでも話を遮らずに耳を傾ける姿勢が大切です。
業務内容の「見える化」が出来たら、課題を整理していきましょう。
課題の整理には、フレームワークが有効です。
例えば、改善の4原則と呼ばれる「ECRS(イクルス)」というフレームワークは、業務を改善する指針として用いられています。
ECRSは、「Eliminate(排除)」「Combine(結合)」「Rearrange(入れ替え)」「Simplify(簡素化)」の4つの単語の頭文字から形作られています。
Eliminate(排除) … 不要なものを排除する
Combine(結合) … 業務・手順などを結び付ける(ときには分離させる)
Rearrange(入れ替え) … 手順などを入れ替える(ときには代替させる)
Simplify(簡素化) … 業務を簡素化させる
整理した業務プロセスを、「排除」できないか、「結合」できないか(つなぎ合わせるなど)、順序を「入れ替え」させられないか、もっと「簡素化」できないか、取り組んでみましょう。
この順序も重要とされています。E・C・R・Sの順番で取り組み、業務の優先順位をつけてみてはいかがでしょうか。
このプロセスは、問題を抽出するだけでなく、その原因を深掘りする作業も含まれます。
例えば、問題の背景にある組織の文化や、技術的な制約、リソースの不足などを明確にすることなどです。そして、これらの課題をチェックシートなどにリストアップし、全員が共通の認識を持つようにしましょう。
有名なフレームワークに、PDCAサイクルが挙げられるでしょう。
まずPlan(計画)段階で、具体的な目標とその達成方法を設定し、
続いてDo(実行)段階で、計画に基づいて実際にアクションを行います。
Check(評価)段階では、実行結果を評価し、計画とのギャップや問題点を確認、
最後にAct(改善)段階で、評価結果を基に改善策を講じ、次のサイクルに組み込みます。
PDCAサイクルはこれを繰り返すことにより、持続的な改善を推進するプロセスです。
他にも、「業務の8原則」や「バリューチェーン分析」などさまざまなフレームワークが存在します。
フレームワークは、課題の分析に非常に役立ちます。複数のフレームワークを組み合わせることで、より効果を最大化できるでしょう。
課題が整理された後は、いよいよ具体的に実行計画を策定します。
実行計画にとって重要なポイントは、何より実行計画が現実的であることです。
リソースやスケジュールなどが「理想」だけで作られている計画は、必ず失敗します。実際に担当者が計画を実行することをリアルに想像し、周辺部署にも情報を共有するなど、準備を整えてから実行するようにしましょう。
計画が出来たら、それを実行に移します。
この段階では、各担当者が自分の役割を理解し、計画通りに行動することが求められています。
いざ、計画が実行に移されたら、業務改善の振り返りを行いましょう。
計画通りに進んでいるのかどうか、定量的および定性的に評価します。しかし、いきなり計画通りに進むことは少ないでしょう。
実行過程でミスやトラブルは避けられませんが、そのミスに対してどのように対応するのかが非常に重要なポイントです。
められています。
計画を実行しているときにミスやトラブルは、必ず発生するものと考えましょう。
そのとき、人力で「なんとかする」のではなく、システムでカバーできる仕組みを構築することが重要です。
業務改善に取り組んでいる最中で、人力で回すポイントを作ってしまうと、また業務が属人化し、気づけば業務が肥大化することにつながります。
それを防ぐためにも、「ミスが起きた箇所は、フローの設計自体に無理があった場所」と認識し、プロセスの再チェックを行いましょう。
例えば、どうしてもヒューマンエラーが起きてしまうフローを自動化ツールに置き換えたり、外部に委託したりするなど、仕組み自体を変えることがおすすめです。
業務改善は、瞬間的な改善ではなく、持続的な改善を実現するためのものです。
計画の実行には「継続力」が非常に重要です。
継続的なモニタリングとフィードバックを通じて、成果を振り返りながら、必要なデータを収集し、成功要因と改善点を見極めます。この過程で得られた知見は、次回の計画策定に非常に有益です。
また、新たな目標を設定し、さらなる業務改善を目指します。
このように、丁寧にステップを踏みながら、「計画を育てる」ように進めていくことが業務改善のコツなのです。
業務改善の方法をご紹介しましたが、ここでは、さらに効率化するための方法をご紹介しましょう。
例えば、手作業の煩雑な工程を簡素化、ミスを減らす、全体の効率も大幅に向上させるなどは、外部リソースやツールなどを活用するとよいでしょう。
業務フローのマニュアル作成は、業務改善における基本的な手法の一つです。
マニュアルを整理することで、これまでなんとなくで作業していたことが明文化され、視覚的にも理解しやすくなります。
マニュアル化によって、新入社員や異動してきた社員が迅速に業務に適応できるようになります。教育コストが削減されるだけでなく、業務の品質が一定に保たれるというメリットがあります。
さらに、標準化されたマニュアルは、業務の透明性を高め、誰もが同じ手順で作業を進めることができるため、ミスや作業のばらつきを減少させます。
マニュアルは定期的に見直し、改善点を反映させ、常に最新の情報を提供できる状態を維持しましょう。エクセルやスプレッドシートなどのデジタルマニュアルを使い、検索機能やリンク機能を活用して必要な情報に素早くアクセスするなどの工夫をすることで、より作業の時短が可能となり、全体の生産性向上に寄与します。
企業のリソースは限られます。
限られたリソースを、最大限発揮するには、特定の業務をアウトソーシングすることが非常に有効な手段です。
特に、専門知識が必要な経理業務や労務業務、ITサポートなどは、外部のプロフェッショナルに依頼することで効率化が図れるだけではなく、従業員がコア業務に専念できる時間とリソースが確保できます。
また、社員の教育や管理の負担を軽減するメリットもあり、外部の専門家が最新の技術や知識を持って業務を遂行するため、品質の向上やサービスの充実化にも寄与します。
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適切なアウトソーシングの活用は、全体の業務効率を高めるだけでなく、企業の成長を促進するための有効な手段といえるでしょう。
業務改善を効率的に進めるには、ITの活用は必須といえるでしょう。
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